智原孝行の神社紹介帖

神社好きの智原孝行が気ままに全国の有名神社をぽちぽちと紹介するブログです。

毎年恒例のあの「ダッシュ」が見られるのは?【西宮神宮】

みなさんこんにちは!

神社巡りを趣味としている智原孝行です。

 

早いものでもう年の瀬。

2019年はどんな年でしたか?

2020年は東京オリンピックも開催されるということで、日本全体が活気づく年になりそうですね。

 

さて、年明けといえば、みなさん神社へ初詣に行くのではないでしょうか?

新年の神社行事としても僕が毎年気になるのが、神社の境内を猛ダッシュしてその年1番の『福男』を決める、あの行事です!

 

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兵庫県にある【西宮神社】の『開門神事福男選び』は、十日えびす大祭の中日毎年1月10日に行われます。

午前6時に表大門(おもてだいもん)が開かれ、外で待っていた参拝者は、一番福を目指して230m離れた本殿へ「走り参り」をします。これを「開門神事」というそう。

毎年俊足を誇る男性たちが猛ダッシュしている様子がテレビで中継されていますね。

本殿へ早く到着した順に1番から3番までがその年の「福男」として認定され、「福男」には、認定証やご神像、副賞と特別の半被が授与されるそうです。

 

ちなみにこの「開門神事」、西宮えびす独特の伝統行事として、江戸時代頃に自然に起こったといわれています。

自然に起こった…!?あの猛ダッシュが!?

 

ではここで、西宮神社の歴史を学んでみましょう。

 

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西宮神社は、全国に約3500社ある「えびす神社」の総本社で、「えびす宮総本社」とも呼ばれています。地元では「西宮のえべっさん」として愛されているそう。

西宮神社の御祭神は

第一殿・主祭神:えびす大神(西宮大神・蛭児命)
第二殿:天照大御神アマテラスオオミカミ
第二殿:大国主大神オオクニヌシノカミ)
第三殿:須佐之男大神 (スサノオノミコト

です。
主祭神の蛭児命(ヒルコノミコト)は、伊弉諾岐命(イザナギ)と伊弉諾美命(イザナミ)との間に生まれた最初の子(神様)です。しかし不具であったため葦の舟に入れて流され、子の数には数えらませんでした。記紀神話では舟で流されたことまでしか書かれておらず、その後の蛭児命がどうなったかは書かれていません。

西宮神の社伝では、蛭児命はその後西宮に漂着し、「夷三郎殿」と称されて海を司る神として祀られたと記載されています。

 

気になる福男選びの起源は、室町時代から江戸時代にさかのぼるそう。

西宮神社周辺では室町時代から江戸時代にかけて、1月9日夜は家から外出しない「忌籠」(いごもり、居籠)という習慣がありました。その間に"えべっさん"が市中を廻られると考えられていたのです。

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(忌籠りの最中は、えべっさんにぶつからないように、門松も逆さに飾っていたのだとか)

忌籠り明けの翌朝、人々は身を清めて神社に詣でました。これが始まりといわれています。

1905年(明治38年)、神社近くに阪神電気鉄道西宮駅が開業すると、地元以外に大阪市や神戸市などからの参拝者が増え、開門を待ちわびるようになりました。1913年(大正2年)の新聞には「先登第一の魁けをして」「先登者に対して夫々優遇を為し神符を与へたれば」といった記述があり、一番乗りを特別視する風潮が参拝者、神社双方に根付いたと考えられています。

昭和初期に「福男競争」「福男レース」といった言葉が使われるようになり、1989年(平成元年)は昭和天皇崩御したことから、自粛ムードに配慮して「神事」と位置付けられました。

元々は忌籠り明けに静かに参拝を行っていたようですが、時代が進むにつれて一種のイベントのようになってきたみたいですね。

 

起源の厳かな感じとはかけ離れてきたため、この福男レースを快く思わない人もいるのだとか。まぁわからないでもない…。

とはいえ、やはり現代の正月の風物詩であることは否定できません。

来年はどのような猛ダッシュが見られるのでしょうか。

 

2019年も大変お世話になりました。

2020年もどうぞよろしくお願いします!

智原孝行でした。